ボールバルブとは?ボールバルブの基本原理と構造
ボールバルブは、そのシンプルな設計と信頼性から、多くの産業で広く使用されている流体制御装置の一つです。
本記事では、ボールバルブの基本構造、動作原理、そして他のバルブと比較した際の利点と欠点について詳しく解説します。
基本構造
バルブの主な役割は、配管内の流体を「流す⇔止める」を制御することです。
配管内の流路を閉じたり開けたりする役割を担うのが「弁体」と呼ばれる部品です。
ボールバルブは、名前の通り、内部にある弁体に球体(ボール)を持つバルブです。
このボールには中央に穴が開いており、ボールを90度回転させることで流路を閉じたり開いたりして流体が通過する通路となります。
ボールバルブの主要な部品は以下の通りです。
- ボール: 流体の通路を開閉するための球体。一般的にステンレススチールや真鍮などの耐腐食性の高い素材で作られています。
- シート: ボールをしっかりと密閉するためのリング。通常、耐摩耗性や耐化学性の高いテフロン(PTFE)などの材料が使用されます。
- ステム: ボールを回転させるためのシャフト。ハンドルやアクチュエーターと連結されています。
- ボディ: バルブ全体を包み込み、内部構造を保護する外殻。ボディは一般的に金属やプラスチックで作られます。
- ハンドルまたはアクチュエーター: ボールを回転させてバルブを開閉するための操作部位。
動作原理
ボールバルブの操作は非常に簡単。
ハンドルまたはアクチュエーターを90度回転させることで、ボールが回転し、流体の通路が開閉します。
具体的には、次のような仕組みです。
1. 開状態: ハンドルを回転させると、ボールの穴が配管の流路と一致し、流体が通過できるようになります。この状態では、流体がスムーズに流れることができます。
2. 閉状態: ハンドルを90度回転させると、ボールの穴が流路から外れ、ボールの側面が流路を遮断します。この状態では、流体の流れが完全に止まります。
ボールバルブは、そのシンプルな動作により、迅速かつ確実に流体のオン・オフを切り替えることができます。
利点と欠点
他のバルブと比較した際のボールバルブの特徴には、以下のような利点と欠点があります。
利点:
- 迅速な操作: 90度の回転で完全に開閉が可能なため、操作が迅速で簡単です。
- 低圧損失: フルポートのボールバルブでは、流体の通過時に圧力損失がほとんどありません。
- 信頼性: シンプルな構造であるため、故障が少なく、長寿命です。
- 多用途性: 幅広い流体やガスに対応でき、様々な産業で使用されています。
- 急な開け閉めができる: ボールバルブは迅速な開閉が可能ですが、ウォータハンマには注意が必要です。
- 三方弁に簡単に変更可能: ボール内の流路の形を変えることで、三方弁として使用することができます。
- コンパクトなデザイン: ボディをコンパクトに設計できるため、設置スペースが限られている場所にも適しています。
欠点:
- 流量調整には不向き: ボールバルブは主にオン・オフ制御に適しており、微調整が必要な流量制御には不向きです。基本的に中間開度では使用しません。
このような問題を解決するために、メモリーストップというオプションをつけて開状態を中間に設定することで微調整を行うことができます。 - 高温流体には不向き: ボールを支える弁座(シート)が樹脂で作られることが多いため、高温(200℃以上)の流体には適していません。
使用用途・使用している場所
ボールバルブは流体を確実に止める性能が高いため、その操作性の良さを生かして、ゲート弁の代わりに使用されることが増えています。ただし、メンテナンス性はゲート弁の方が優れているので、使用する場所によっては引き続きゲート弁が使われることもあります(例えば、地中に埋まっている水道管など)。
知っておきたい用語
三方弁
三方弁は、一方の孔から入ってきた流体を二方向のどちらかに排出できるバルブで、流路切換弁ともいいます。孔を直線で貫通させるのではなく、例えば、ボールの中心部で流路を上に向ける形で貫通させます。ボールを回転させることで、孔の出口を上向きや下向きに簡単に切り替えることができ、二方向のどちらかに流体を流すことができます。
ウォータハンマ
ウォータハンマとは、勢いよく流れている流体の行き場が急にふさがれることで、配管内で急な圧力変化と衝撃が発生する現象です。これにより「ドンっ!」という音が発生します。ウォータハンマはバルブだけでなく配管全体を損傷させる恐れがあるため、ボールバルブやバタフライバルブでは急な開閉を防ぐ装置を取り付けることがあります。日本語では「水撃作用」とも呼ばれます。
ボール弁とボールバルブの違いとは?
「ボール弁」と「ボールバルブ」は基本的には同じものを指します。日本語では「弁」という言葉が使われ、英語では「バルブ」という言葉が使われます。両者の違いは言語の違いによるものです。
まとめ
ボールバルブは、その簡単な構造と操作性から、多くの産業で幅広く利用されています。迅速な開閉、低圧損失、高い信頼性などの利点がありますが、流量の微調整には向かない点や、高温の流体には適さない点もあります。用途に応じて最適なバルブを選定することが重要です。また、ウォータハンマの対策や三方弁の活用など、特定の状況に応じた適切な使用方法も理解しておくと良いでしょう。
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